保育園の仕事と精神分析の訓練(主に分析とSV)が休みに入り時間ができたので『諏訪敦 眼窩裏の火事』Fire in the Medial Orbito-Frontal Cortexへ行ってきた。場所は府中市美術館。府中駅から30分毎に出るちゅうバスを利用した。
予備知識もなく行ったが息を呑んだ。人間の死というより死にゆくという動きが淡々と着実に進行していく様子が本当に写真と絵画の間を揺らぐように描かれていた。これは絵画なのだけど。写真であり映像でもあるように感じた。
第3章「わたしたちはふたたびであう」と名付けられた部屋に展示されたシリア内戦を取材中に銃撃され亡くなったジャーナリストの山本美香の肖像画には強く惹かれた。彼女が亡くなった後に描かれたこと、その隣に並ぶパートナーの佐藤和孝の肖像画を見た後だったこと、彼らの情報は後から作品リストに書かれた説明を見て知ったのだが強烈な印象を残した理由はその中にあるように思う。
大野一雄を舞う姿を描いた作品の前で同じポーズをとろうとするキャップにジーンズの中年男性がいたが同じような感触だったと思う。私の腕も自然に持ち上がったから。
それなりに来館者はいたが各部屋でひとりきりになるような時間もありじっと佇みながら時間をかけて回ることができた。
常設展も充実していた。