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精神分析

サンファ、強迫、NHK俳句

フジロック、サンファ(Sampha)の配信があったのか。Reading Freudの時間だったからどっちにしてもみられなかったというかどうやってみたらいいかわからないけどみたかったな。素敵なステージだったんだろうな。サンファは空がよく似合う。昨年、『LAHAI』の発売に伴って柳樂光隆さんがサンファに行ったインタビューと音源が素晴らしかった。何度もきいた。今もかけている。今日は生音を聞いたばかりのマリア・シュナイダーDAYになるはずだったけどそれはまたあとでじっくり。サンファの音楽にはずっと浸っていたくなる反復がある。インタビューでもこう話している。

「サンファ:そうだね。僕は反復的なものが好きだし、コンスタントにある要素を基盤に、作り上げていく過程が好きなんだ。コドウォ・エシュンの『More Brilliant Than The Sun』という本で彼は、「音楽によっては、それを遡れば遡れるほど、未来的に聴こえてくるものがある」と述べている。例えば、アフリカ音楽は直線的(linear)な方向に進むのではなく、建築物のように、上に伸びていくんだ。複雑なリズムが土台としてあって、人々はそれを変えていくのではなく、その上に新たな要素を積み上げていく。そういった、反復の上に積み上げて、シンコペーションを生み出していくという考え方が好きなんだ。アフリカの料理みたいなものだよ。すべての材料を一つの鍋に入れて、それだけでちゃんとした料理が出来上がる。」

「それに、(反復という)何か、自分がしがみついていられるものがあると、僕としては安心できるんだ。僕はアルバムの中で「時間」について何度も触れているけれど、そういった一定のリズムは、「常に時が刻々と刻まれている」という状態の音響的な表現なのかもしれないね。でも、さっきも話したけど、これらの多くは、そこまで考え抜かれて作られたものではないんだ。僕が音楽を作ると、こういうものに自然と傾倒していくんだよね。」

ーRollingStone サンファが語る新たな傑作の背景 抽象的なサウンドに込められた「過去と未来のサイクル」by柳樂光隆

柔らかな自然体。コロナ禍に作られたこのアルバムには同時期に娘が生まれたことで伝承も意識されている。

「僕は、娘からたくさんのことを学んでいるし、僕も娘に教えてあげられることはたくさんある。そして、僕は母親からもたくさんのことを教わった。すべてはサイクルであり、そのサイクルは続いていく。だから、そういう口頭伝承と僕の作品には確かに繋がりがあると思う。」

とも話している。ゆったりと優しい音で始まる日曜日もいいですね。

昨日は私主催のフロイト読書会、Reading Freudだった。こちらでも鼠男、ラットマンと呼ばれた強迫神経症患者を素材とした論文を読んでいたのだった。こちらは音読、精読の会なのでこの論文に詰まっている論点を実感できた。議論も大変興味深く、これからフロイトが言うようになる事柄の源はここでもあるのか、と気付かされた。精読しているとそういうジャンプ力というか推論の力がつくのかもしれない。メタサイコロジー論への繋がりがだいぶ見えてきたので色々書き留めておかねば。この論文の後半、理論編の最後のほうにこの患者の強迫行動が止まる場面が描写されている。語ること以前に注意を向けることという課題があることがわかる。私の興味関心はそのあたりにあり、今回再読するなかでASDにおける強迫の特徴について考えさせられた。

NHK俳句は高野ムツオ先生の会。そして山口昭男先生!俳句結社「秋草」主宰。句友が「秋草」に所属している関係で山口先生に句集を送っていただいたことがある。とても好きな俳人。お姿をはじめて拝見した。アッパッパって夏の季語なのか。山口先生の句か。いいねえ。山口先生の句は誰にでもスッと入る穏やかさとユーモアがあるからおすすめです。山口昭男先生の先生は波多野爽波。『波多野爽波の百句』(ふらんす堂)も書かれている。これもとてもいい本です。私も今日はアッパッパ系の服で仕事行こう。どこかでお祭りやってないかな。寄りたいな。どうぞ良い一日を。

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家候補生