カテゴリー
精神分析

青と黒の本とか。

朝焼けはいいねえ。ピンクが少しずつ広い空に溶け込んで東の空は薄くなっていく。

今週も終わる。ものすごいスピードで日々が過ぎていく。そんなときは夏目漱石を読むといい。今と過去と未来が緩やかにおおらかに書かれているから。もちろん全ての作品がそうではないけれど。

先日、土居健郎の選集で「甘え」理論の展開(うろ覚えなのでカッコつけない)を読んでいた。私がこの本で気に入っているのは土居健郎が漱石を引用する部分。そもそも私が土居健郎を知ったのは実家にあった青と黒の本『漱石の心的世界』だった。土居が夏目漱石に書いたものを読んだ加賀乙彦の勧めで国文学の雑誌に連載したものを加筆修正した一冊だ。私はあれを読んで病跡学や国文学をやりたいとか思っていたがそうはならなかった。でも土居と同じ仕事にはついた。学問ってこういうこと(説明省く)。

青と黒の、というのは本が入っている箱のことで中の本はグラシン紙に包まれていた。黒か茶色の本。昔はそうやって色で呼ぶことが多かった気がする。赤い本とか。ちなみに私が大好きだった本は「黒いチューリップ」。単に色が好きなのかもしれない。デュマも知らなかったし何も知らず何度も読んでいてはじめて行った海外であるサンディエゴの州立大学の図書館でも探した。そのまま今調べてもthe black tulipでそのままの英語なのに見つからなかった。私は当時どんな言葉で検索をかけていたのか。もう30年以上前の話だけどあの図書館、検索ができた気がする、そういえば。それともコンピューターでの検索ではなかったから調べ方が十分ではなかったのかもしれぬ。覚えていない。

土居健郎もカリフォルニアの図書館で夏目漱石の全集と出会った。もちろん日本ですでに読んだものも多くあっただろうが、土居の人生に大きく関わる精神分析の訓練のために渡った米国でこれぞ我が事と思える作品を読んだときの感激はものすごいものがあっただろう。この本はとっても面白いので皆様も是非に。フロイトもそうだけど土居も引用がうまいので漱石を読んでいなくても面白いと思うし、漱石を読みたくなるとも思う。

なぜ私はこんなことを書いているのか。頭にあったのは全然別のことだったのに途中動いたのがいけなかった。土曜の朝はなんかいつもの朝と違って特別な気がする。いい1日になればいいな。みんなも。とりあえずいいお天気だといいですね。