灰色の空。パウル・クレーが気をつけろと言った灰色。はじまりの色。窓を開けた。今日は少し風がある。鳥の声も穏やか。エアコンはまだつけなくて大丈夫そう。冷たい麦茶が美味しい。
最近、コンビニで花火を見かけることが増えた。夏だ。祭りだ。花火大会だ。オフィスからはヤクルトスワローズの本拠地である神宮球場であがる花火が見られる。5回裏の終わりに。いつもちょうど観られないけど。そういえばこの前「花火だ」と思ったのだけどスワローズのは夏休み期間だけだと思う。なんだったのだろう。外苑の花火大会はお盆のときかも。能登はどうかな。七尾市、加賀市、和倉温泉の花火大会は中止みたい。昨年、羽咋に泊まった夜にちょうど「復興花火in千里浜海岸」をやっていたのだけど不覚にも眠ってしまって見に行けなかった。昼間、炎天下の千里浜海岸を自転車でたくさん走って疲れていたらしい。はじめての試みだからホテルが指定する場所から見えるかわからないのだけど、とチェックインしたときに言われたけどとてもきれいに見えたと朝になってから聞いた。今年はやらないのかな。暑い夏も元気に乗り越えてほしい。「日本三大火祭り」のひとつ、能登島向田の伊夜比咩神社の火祭りは7月26日に無事に開催されるらしい。たくさんの人で盛り上がりますように。能登島はのとじま水族館がある島。GWに行ったときはちょうど避難していた全ての魚たちが戻ってきたところだった。地震から水族館再開までの様子とかをパネルで見たけど本当に大変な作業をみんなでされてきたんだなと涙が出た。
石川といえば山中温泉に泊まり街中を散歩していたとき「姑娘」という中華料理屋が目に入った。なんと読むのだろう、と思いながら通り過ぎた。翌日金沢の茶屋街に行くとギャラリーのようなお茶屋さんで箸置きや器に「姑娘」がいた。アヤベシオリという作家さんの作品だった。どれもとてもかわいくて連れて帰ろうか迷った。お店の人とおしゃべりしながら「姑娘」の意味を聞いたがわからないと言われた。その後に出会ったのが水木しげるの「姑娘」。強烈だった。戦争が人生を想像もしなかった方に連れていくということは頭では知っている。いろんな人がいろんな資料を残してくれたから。しかし、こういう方向もあるのか、というか水木しげるが知っているリアルはすごい。ちなみに読み方はクーニャン。若い女性という意味らしい。同じ本に収録されている作品も太平洋戦争のもの。戦艦や駆逐艦の絵も凄まじく細やか。悲惨なことが次々に起こるなか人間の書き方は軽やかでユーモアさえ感じさせるがそれだけではもちろんなく多面的。人間の愚かさって本当に説明しがたいということがなおさらなんともいえない気持ちにさせる。戦後80年、恵比寿の東京都写真美術館で開催中の「被曝80年企画展 ヒロシマ1945」にも行ってきたが、あの惨状にカメラを向けずにはいられなかった人たちの記録が特に心に残った。
7月1日締切の原稿のために出していた本たちを本棚に戻して、なんとなく積み重ねていた洋服を整理した。心配していたとおり梅雨に気温が下がるということがなくずっと暑かったので薄手の長袖ニットとか全然着なかった。しまってしまおう。そういえば関東の梅雨明けはまだ?引き続き熱中症に気をつけて過ごしましょう。