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精神分析

「アンチ・アクション」など。

夜明けが早くなった。今朝はぼんやりした空。細い月が昇ってきているはずなのに。でも今日も晴れるらしい。嬉しい。

先日、東京国立近代美術館へ行った。京王新線初台駅は都営新宿線と繋がっているので神保町か九段下まで行って「徒歩15分」、と美術館のサイトには書いてあるけどそんなにかからない。私の場合、帰りは神保町でも九段下でも初台には一本で戻れると思っているせいか、九段下(のほうが新宿寄り)に出るつもりが神保町に出てしまったり、ついでに本屋さんに寄ってしまったりするから急いでいるときは美術館から一番近い地下鉄東西線の竹橋を利用する。竹橋もいつも京橋と間違って混乱するけど。京橋に行ってしまったらアーティゾン美術館に行けばいいか。竹橋は毎日新聞社の本社ビルのパレスサイド・ビルディング直結で、私はこのビルとレストラン街の風情が好き。

さて、東京国立近代美術館の展覧会は豊田市美術館から回ってきた「アンチ・アクションー彼女たち、それぞれの応答と挑戦」。東京のあとはGWにかけて兵庫県立美術館でも開催される。「アンチ・アクション」というのは中嶋泉著『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(2019)→『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性の画家』(2025年文庫化、増補改訂版、ちくま学芸文庫)の用語だそうだ。「アクション」という語が男性的な意味を持つことからそれに引っ張られて、などの話にも驚いたが、言われてみればアクティブが男性的でパッシブが女性的というイメージで使われてきた歴史はある。しかも日本の画家たちが西洋に「女性的」と見做されていた背景も手伝い、女性たちの作品が切り捨てられていくという、なんともありがちな女利用がされたらしい。日本の芸術が女性的であるならば、それを見下されたと受け取って女性的な部分を本当の女を使ってなかったことにするのではなく、別の言葉でしか表現できない何かに変形するのが芸術家の仕事ではないのでしょうか、と思うし、ここで展示された女性美術家たちの作品を思うとなんとも複雑な気分になった。カッコ付きで書かれた旧姓にもなんだか胸が締め付けられた。私も思わず「え、この人のパートナーってあの人なの!」と思ってしまい、切り捨てられつつも消されなかった理由についても考えてしまった。

 今、SOMPO美術館では開館50周年記念「モダンアートの街・新宿」が開催されているが、そこでも「アンチ・アクション」で展示された画家、芥川(間所)紗織、福島秀子、宮脇愛子の作品が見られる。芥川(間所)沙織と宮脇愛子は阿部展也(芳文)が下落合に拠点を置いた戦後期に師事したという文脈で登場し、福島秀子は阿部と一緒に仕事をした瀧口修造の「実験工房」の文脈で登場。文脈が変われば印象も変わる。

 SOMPO美術館の展示も好きな作家が多く、新宿、特に下落合はすごいな、と思いながらみた。どちらもゆったり見られて色々感じられてよかった。本当は上野に頻繁に行ったりできたらいいがすぐに行って帰ってできる範囲に美術館があるだけで贅沢だし、ひとついくだけで結構おなかいっぱいになってあとにもひくから。しかし、明るい「よかった!」ではないな。まあ、いろんな複雑なメッセージを複雑なまま受け取る観客でいよう。

今日は土曜日。いい1日になりますように。

SOMPO美術館

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家候補生