関西の友人から羨ましい写真が送られてきた。え、東京にきてるの?と一瞬思ったけど違う、東京の友人が向こうへ行ってるのだ。女性の精神分析家が書いたフェミニズム関連の論文を女が読むonlineの会の友達(その後延々おしゃべりもする)。そしてなぜ東京の彼女は向こうへ?そうか、ウィニコットフォーラムがあったのか。私は週末も仕事をしているので精神分析学会以外は役割がないかぎり参加していないけれどいけばよかった。ウィニコットフォーラムも去年はオンラインだったもんね。現地開催、よかったよかった。あ、そうだ。『ピグル』(金剛出版)の読書会の記録もしておかねば。
それにしてもこれは完全に羨ましがらせる写真ではないか。いいなーいいなー(と送った)。でもよかった。個別には会えていてもなかなかみんなで会えなかったものね。素敵なお知らせも聞けた。少しずつ別の場所へ。励まされる。
今朝はぼんやり植物と進化のことを考えていた。今日は雨か。あの木々や花々や実たちはどんな風に過ごしているのだろう。あまりに多様なあり方には出会うたび驚くばかり。小石川植物園にはニュートンの生家にあった木の枝を接木した「ニュートンのリンゴ」、メンデルの実験室から分株してきた「メンデルのブドウ」がある。私はそのメンデルの法則にはそぐわない食虫植物をはじめて出会ったときから愛している。植物が昆虫を食べるだと?神への冒涜では?と言った人がいたとかいないとか。ダーウィンがone of the most wonderful [plants]in the worldといったのはハエトリソウ Flytrapという食虫植物。個人的にはマイナーな異端児同士、ひっそり仲良くしていきたい。
フロイトもウィニコットも愛したダーウィン。ウィニコットは高校時代にはまったという。ウィニコットがダーウィンにどう影響を受けたかはいろんな人が触れていたと思うのでそのうちまとめたい(気持ちだけは)。
関連して思い出したが、学会のセミナーで私はウィニコットを引用した先生にその先も引用する必要を言ってみた。
ウィニコットは書いた。
引用はA Primary State of Being: Pre-Primitive Stages from Volume 11 of The Collected Works covers The Piggle (1971) and Human Nature (1988)、邦訳は『人間の本性 ウィニコットの講義録』(2004、誠信書房)から「第5章 存在の原初的状態:前原始的段階」。
「個々の人間存在は無機的なものから現れた有機的なものであるが、時がくれば無機的な状態に戻るものだ」
Each individual human being emerges as organic matter out of inorganic matter, and in due time returns to the inorganic state.
私はこの文章には続きがあると言ってみた。
ウィニコットは括弧付きの文章を続けた。
「(しかしながら、これも本当は正しくない。なぜならば、人間は卵から発達するのであるが、その卵には、何十億年も前に無機物から有機物が生じたとき以来受精してきた先祖のすべての卵以来、現在に至るまでの経緯があるからである)」
(Even this is not true altogether since the individual develops from the ovum which has a prehistory in all the ancestral ova fertilised since the original emergence of organic matter from inorganic several million million years ago)
私はここには親から子へと連綿と受け継がれてきた歴史があり、決して無機的な状態に戻ることはないということも同時に言っていると思うので、とウィニコットのパラドキシカルな書き方と併せて話した。
・・・ここまで書いて寝ていた。まずい。もう行かねば。みなさんも雨の道をどうぞお気をつけて。午後は晴れるって聞きました。でも寒いから体調にもくれぐれもお気をつけて。今週もなんとか過ごしましょう。