カテゴリー
精神分析

おばあちゃん

「うん?三日」と思う。昨日は「うん?二日?」と思った。一昨日は「(略)」と思ったがいよいよ〆切日だ。毎月毎月誰も見ていないのに声も出さずこんなことを繰り返している。「ちっ、暦なんかあるから、グレゴリウスめっ」とか思っても〆切は遠ざからない。というか暦って多分ないと困る。毎月毎月ほぼ同じように数字で区切ってもらえるからかろうじて〆切だって思い出せるわけだ。これが1ヶ月40日とかだとちょっと感覚狂うかもしれない。40人学級より30人学級の方が運営はうまくいくはずだ。何月が31日まであるんだっけ、と小学生のとき、友達が指で確認していてめっぽうかっこよかった。私も真似したが山と谷、どっちが30日でどっちが31日かを忘れてしまったりそもそも最初の手の形が違ったりする。しかもチョンチョンって2回やって折り返さなければならない。難易度が高い。なので結局「8月は31日まで」というのを基準にあとは大体変わりばんこと覚えていた。私の誕生日を祖母は死ぬまで「8月31日」と思っていて毎年「亜美ちゃん、8月31日、お誕生日おめでとう」とお手紙とお小遣いをくれた。おばあちゃん、私の誕生日は30日だよ、といつもほっこりした。

そうそう、おばあちゃん、と祖母に向けてお話したくなるがBack to realityの声が聞こえる

そうそう、おばあちゃん、昨日ね、友達がとっても美味しいお店に連れていってくれたの。前菜がシャインマスカットといちじくと生ハムだったの。すごいでしょ。最高でしょ。夏に青森に行ったんだけどね、その話とかしながらなんとなく群馬の話も出たの。そしたらシェフが「生ハムは群馬のですよ」って。そー、びっくりでしょ。向いてるんだって、群馬、生ハムに。あのからっ風が。あの冷たい乾燥した風が生ハムの熟成にいいんだって。前髪は凍るし肌は粉吹いちゃうしいいことなんてないと思ってたのにね。「からっ風、いいとこあるじゃん」って思わずいっちゃったよ。

あ、天の声を無視してしまった。Back to reality.あなたは9月は本当にまずいよ。がんばりなさい。あぁ、おばあちゃん、私こんな歳になったけどまだこんななんだけどなんとかやってるよ。おばあちゃんは元気かな。なんで死んだ人にそう思っちゃうんだろ。私の記憶の中で彼らがみんな元気でいてくれたらいいなと思うからかな。また話そう。今日も元気でね。

おばあちゃんといえば

Woman’s Best 13 韓国女性文学シリーズ10​『私のおばあちゃんへ』나의 할머니에게

ユン・ソンヒ、ペク・スリン、カン・ファギル、ソン・ボミ、チェ・ウンミ、ソン・ウォンピョン 著​ / 橋本智保 訳

はとてもよかった。

私も着々とおばあちゃんに向かっている。戦争を知っている祖父母は長生きした。その時代に生きるってどんな感じだったんだろう。うん。やっぱりまた話そう。なんらかの形で。岸政彦さんたちの本とか生活史の本もたくさん出てきた。私も聞こう、話を。

みなさんもどうぞお元気で。