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精神分析

フロイト「ミケランジェロのモーセ像」

薄暗い。薄着だと寒いけど普通に着てしまうと暑い。湿度の管理が難しいのかな。東京も梅雨入り。沖縄の梅雨はもう明けたらしい。心身ともに低め安定でいきたい、というか低めでもいいから安定していてほしい。

昨日は、久しぶりにフロイトの『ミケランジェロのモーセ像』を読んだ。岩波の『フロイト全集13』に入っている。そんなに長い論文ではない。フロイトが詩や彫刻には感銘を受けるのに音楽はつまらないと感じるというところから始まり、フロイトが強くミケランジェロのモーセ像にひかれ、その謎解きに取り組んでいく様子は面白い。芸術家ではなく作品を解釈するフロイトはやや自信がなかったようで、この論文は最初オットー・ランクらが編集を務める「イマーゴ」に匿名で発表された。その方法がこの論文に対する注目度にどう影響したかはわからないが、その後、フロイト先生の論文として主に精神分析の外側から様々な議論がなされてきたのだからよかったというかさすがというか。この論文はフロイトのあれやこれやが辿りやすくて読みやすい。幅広い資料の引用と丁寧な謎解き。どんな時間の使い方してるんだろう、ってフロイトの時間の使い方はだいたい世に出ているわけだけど情報処理のスピードが尋常じゃないと思う。モーセ像見にいってみたいな。

あとジョルジュ・ヴァザーリの『芸術家列伝」を読んでいたのだけど、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロもすごいが、ヴァザーリ何者、という感じがすごくしている。彼自身は自分のことを歴史家でも文筆家でもないと述べていたらしい。画家であると。それはそうに違いないのだろうけど、同じ画家としてレオナルドとかミケランジェロのことを書くのってすごく大変そう。ヴァザーリはレオナルドの推しだったんだな、と読みはじめてすぐに思うが、割かれているページは友人であるミケランジェロの方がずっと多い。現代にいる私からはちょっと変わったテンションの本に思えるのだけど長い間、イタリアルネサンス美術に関する最重要資料だったわけだから資料として読む目を養わないといけない。

25年前にツアーで行こうとしたら人数が足りず行けなかったイタリア。行きたいなと思いながらどんどん月日は過ぎた。オリーブオイルもそんなに使わなくなった。今の世界じゃ芸術作品だっていつ壊されてしまうかわからないから早く行った方がいいんだろうな。モーセと同じポーズをとってフロイトの考えたことを考えたい。写真だとわからないから。

雨雨雨の毎日になるのかな。のんびりいきましょう。

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家候補生