カテゴリー
精神分析、本

日曜日、アンドレ・グリーンを読んだり。

いつもの散歩道の木々はぐんぐん伸びる一方、頻繁に剪定をしてくれている地域の方を見かけるようになった。花の時期を追えてきられずに伸び続けていたらこの道は家々を押し退けて森になるのだろうか。我が家の一畳花壇も放っておくと山椒の木がどんどん伸びていってしまうので昨年きれいにしてもらった。自分で切る道具だと太刀打ちできない太さになってしまった。枝を切るというのはかなり力がいる作業で腰もやられる。なのに黙々とやってくださる人には頭が下がる。挨拶しかしていないけどお礼の気持ち。

休みの日が休みでなくても何か休みらしいことがしたい、といつも思っている。休みが普通に休みだったら一日中家でゴロゴロする可能性が高いので用事が入っているのは外に出るモチベーションにはなる。しかもこの時期は暑いので暑い時間は中にいて早朝と夜に出かけるというのも健康的、ということで、用事が終わって涼しくなってから紹介してもらったカフェに行った。「ここを紹介したかった」と地元の人がいうカフェは地元の比較的若い方の居場所という雰囲気もあり、お値段も高くなく(今って高すぎるでしょ)素敵な紅茶もたくさんあった。紅茶はいただかなかったけど別の機会にも行ってみよう。そういえば、私がお世話になってきた商店街からまた馴染みの店がなくなる。長いお付き合いだからこの前フラっと挨拶に行った。お互いにお礼を言い合った。寂しい。


昨日はアンドレ・グリーンの1982年の論文Après-coup, the archaicを読んだ。英訳された論文7本が納められたThe Frudian Matrix of André Greenの第一章に入っている。担当された方は原著から訳してくれていた。この本は前にも書いたがHoward B. Levineによるイントロダクションがとても参考になる。グリーンの書き方は非常に難解なので、その仕事全体を見渡せる地図がないと自分の少ない知識と体験に寄せて読みがち。わからないものほどわからないことに耐える力が必要で、わからないことを「なんかわかる」みたいにしてしまうならこんな難しい論文に取り組む必要は特になくてしっかり基礎がわかる論文を読んだ方がいいだろうから耐えながら読んでいる。私にとってアンドレ・グリーンを読む意味はフロイトとウィニコットを何度も読み込むためなので好きなことの探求という目的があるという意味では耐えやすい。

この本は完全な年代順ではないが目次はこんな感じ。結構幅があるが俯瞰するにはそれがいいのだと思う。

1. Aprés-Coup, The Archaic(1982)

2. The Double Limit(1982)

3. The Silence of the Psychoanalyst(1979)

4. The Capacity for Reverie and the Etiological Myth(1987)

5. Language Within The General Theory of Representation(1997)

6. The Psychoanalytic Frame: Its Internalization By The Analyst And Its Application In Practice(1997)

7. Dismembering the Countertransference. What We Have Gained and Lost With the Extension of the Countertransference(1997)

第1章、第2章はグリーンの頭にある病理は境界例なので
“Les états limites -Nouveau paradigme pour la psychanalyse?”=『フランス精神分析における境界性の問題 フロイトのメタサイコロジーの再考を通して』でアンドレ・グリーンの境界例概念を確認しながら読むのもいいと思う。フランス精神分析の診断基準は独特で、境界例についてもっとも貢献したがのグリーン。基盤はナルシシズム。

グリーンを読むときに一番面白いのはフロイトとの対話。「終わりのある分析と終わりのない分析」(1937)をもう一度読もう、と本を探したらなかった。オフィスにあるんだな。岩崎学術出版社から出ている『フロイト技法論集』と『フロイト症例論集2』はもうボロボロだから読み込んだご褒美にもう一冊ずつ買おうかな。PDF化するのがいいのだろうけどどうやればいいかよくわからないし、紙の方が使いやすいからなあ。うーん。

今日はのんびりしてしまった。台風どうなるのだろう。場所によって全然様子が違うだろうから読めないけどある程度の見通しを持って動ける程度でありますように。どうぞよい一日をお過ごしください。

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家候補生