「○○ちゃん(むにゃむにゃ)アーンアーンしちゃったの」とさっき久しぶりに会ったばかりの2歳の子が手を繋いだ私を見上げながらいう。するともう一方の手を繋いでいた子が「アンパンマンが(むにゃむにゃ)」という。そうだった、この通りのおうちの塀にはなぜか小さいアンパンマンがいるのだ。今日もいるかな。あー鬼か。「おにはーそと、ふくはーうちしたの」というと二人が「おにはーそと、ふくはーうち」を楽しそうに繰り返し跳ねるようにするので手綱を引くように手を握り直す。小さな手。でも力が強いし動きが早い。赤ちゃんのときから知っているせいか季節ごとにしか会わないのに会えばいつもいろんな報告をしてくれる。しりとりのような、自由連想のような話に行きつ戻りつしているうちに公園に着いた。「○○先生がいたの」と鬼役を先生がしていたこともあっさり教えてくれた。わかってても泣いちゃうよね。
コンサル先でバレンタインデーとチョコをもらった。ここも年に2、3回しかいけないがいつもいろんなお菓子を持たせてくれる。この日は鏡餅のおかきも。揚げたてじゃなくてごめんなさいと。いやいや全然。とってもおいしい、と食べていたら別の小さな紙袋に入れたおかきも持たせてくれた。帰ってからいただいたチョコをみたら岡本のチョコ!私の苗字ではなくて神戸の岡本というところ。大好きな街。学会で行ったはずなんだけどいくたびにたくさん歩いておいしいお店が見つかっちゃうから大変でした。この街は俳人たちの暮らす(暮らした)街でもあって今も生きている代表的な俳人でいえば小川軽舟さんが住んでいらした。今はわからないけど『俳句と暮らす』(中公新書)の4章「散歩をする」を読むと俳句にイメージを膨らましてもらいながら岡本のこともそこで暮らした俳人たちのことも知ることができます。この本、ただ生活をすることの豊かさが書かれているとってもいい本です。私は何もわからないままはじめて連れていってもらった句会が軽舟さんたちとの小さな句会で、その頃は結社とか主宰とかいう俳句界での言葉も知らなかった。軽舟さんは『鷹』という大きな伝統ある結社の主宰だったのでした。その時にあっさり言われたひとことにちょっとショックを受けたけど言い当てられてしまったような恥ずかしさと面白さもあり、それから何年もあとになってまた誘われて俳句を始めたのもほとんど作らないわりに句友たちと繋がっていられるのもああいうはじまりがあったおかげかもしれないとか思った次第でございます。
というわけでみなさんもそれぞれの街で今日もご無事に過ごされますように。面白い景色にも出会えますように。写真はもうすぐ咲きそうな河津桜です。