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精神分析

フロイト読書会

フロイト読書会だった。平日のはアドバイザーとしてお呼ばれしているもので、すでに一度主要論文とその周辺を読み終えているグループのもの。みんな臨床家で遅くまで仕事して帰ってきてすぐこの読書会で、と大変だ。私もばったばたで大変だけど多彩なメンバーで何年も続けてきた積み重ねは大きい。

読んだのは『フロイト全集2』よりヒステリー研究 病歴B(ミス・ルーシー・R) p.132~156。私はもう何度も読んでいる症例だが学びが大きい。この症例は、シャルコーによる古典的な類催眠状態を作る技法がうまく使えず、ベルネームによる暗示を手本にした前額法を用いた自由連想という技法の変遷がみられる事例である。理論的にはフロイトは仮説ありきで話を進めていくところがあるがメタサイコロジーの欲動に関する論文の冒頭に書いてあることを思えば彼のその姿勢には一貫性がある。しかしそれはフロイトの理論が臨床と離れていることを意味しない。フロイトはこの後もより多くの症例と、そしてそれはそれは多くの人との関わりのなかで精神分析を確立していった。

私たちは時々密室で篭りがちみたいなことを言われるけど日々の研鑽がひとりで行われることはないので常に様々な視線や言葉が交差する場所で自分の臨床を見直しながらまたひとりに戻っていく。

ひとりでがんばりたい!と言いながらベタッとした依存関係から離れられないという矛盾を抱えている人もいるかもしれないが目の前の患者と会うときに支えてくれるのはそういう依存関係ではない。長い時間をかけてフロイトを読みながらそれぞれの患者との作業を想い、単なるおしゃべりで孤独をなかったことにすることもなく適度に抱え悩みつつ同じような日々を過ごしていく。これからもがんばっていきましょう。