一瞬泣いた。涙をひっこめられるくらい。一瞬顔が歪んだ。かえって頬に力が入った。力を抜いたら涙が止まらなくなってしまいそうで、いつのまにか惰性で泣いてるみたいになるのが嫌で、かといって自分でコントロールしていたわけでもなくてふとした瞬間にそうなるから困った。
大切に大切にしたいと思うものはいつもひとつに決められない。これはみんなにとってそうなはず。あの人を大切にしたい。傷つけたくない。でもこれを言わなかったら私が傷つく。あの子が傷つく。大切だからどうしても、と思ってしたことで怒らせた。不愉快にさせた。許せないと言われた。大切にするってなんだろう。私の答えは決まってる。でも仕事以外では難しい。私の仕事はシンプルで、契約があるからできることでもある。「これ時間が決まってるからいいけど」「お金払ってるからいえる」など。でも大抵の人間関係は契約ではないので、あったとしてもそっちの縛りは強いのにこっちはこんな緩いのかみたいな契約だし難しい。
なんだか急に眠気に襲われた。いつもこうしてここで眠ってしまうのだ。危険。眠ったら大切だと伝わるだろうか。お互いに傷ついたとしても希望をもてるだろうか。せめて夢でなら。私の無意識は何を願っているのかな。嬉しかったこと、幸せだったことは全部そのまま保存したい。いろんなことが起きるけど別のなにかで実際に起きた出来事を侵食したくない。夢でなら思わず微笑みあったり豪快に笑い飛ばすだけの関係でいられるかな。眠い。だめだ。力を抜いたら泣いてしまうといったばかりではないか。いいじゃない、死ぬよりは、っていわないで。比べてない。眠ろう、少し。明日の準備もまだだけど。少し。多分ほんの少し。コントロールできなそうだけど。せめて夢で。