昨晩は『フロイト症例論集2 ラットマンとウルフマン(藤山直樹編・監訳、岩崎学術出版社、2017)』のラットマンの部分、つまり「強迫神経症の一症例についての覚書(一九〇九)」を読了。
昨年度からオフィスで始めた小さな読書会。4月から新しいメンバーを加え2年目をスタートさせたけど、コロナの状況を考えてまだ一度も対面でお会いできていない。
昨年度は同じく岩崎学術出版社から出ている『フロイト技法論集』をちょうど一年かけて読み終えた。今回のラットマンは
Ⅰ 病歴の抜粋 Ⅱ 理論編 というシンプルな構成。1ヶ月に1回2時間で4ヶ月、8時間で読んだ。強迫神経症の症例としても、転移を扱わなくてもよくなった症例としても、フロイトとラットマンの幸福な時期の描写としても読める本である。
ラットマンという名前は彼の病歴からとっている。私も自分の問題に名前をつけるとしたら何かな。病名よりはその人固有の感じが出る方がいいなと思う。
ラットマンはフロイトにお母さんのようにお世話をされ、陽性転移の中よくなっていくが、第一次世界大戦で戦死する。だから「その後」は「戦死」以外、分からない。
ウィニコットの子どもの治療記録『ピグル』に出てくる女の子は50年後にインタビューに応じている。
死に方には色々あるし、いつどうなるかは誰にも分からないけど、できたら「その後」を死以外のなにかで伝えたり、伝えられたりしたいな、と思う。