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俳句

「初」を並べる。

そろそろ日の出の時間、まだ外は暗いけど。手元に『風と雲のことば辞典』がある。今の空を表すことばはどれがいいだろう。昨日はどんな風が吹いていたっけ。昼間は風もなくとってもきれいな青い空が広がっていたのは覚えているのだけど。「何処吹く風」ということばもこの時点にのっている。歳時記からこの辞典と重なりそうなことばを探してみよう。あいの風、青嵐、青東風、青田風、総索引の最初のページに出てくるこれら、みんな夏。新年の歳時記を見ると初東風、初凪、初霞、「天文」に分類されるものはみんな載っているかもしれない。今年も15日が過ぎた。あっという間に日常が、とかいっていないでもっと新年気分を味わえばよかった、と昨日歳時記を見ながら思った。なんでも「初」をつけておけば新年の季語になるのではと思いながら、そういえば私、今年、全然「初なんとか」って言っていない気がすると思った。「初夢」すら言っていない気がする。頭の中で「初夢どんなだったっけな」と思ったのは覚えている。初詣はいった。「行った」の方のいった、ということは「言って」もいる。このブログだって「初日記」とか題名つければよかったし、階段をえっさほいさと登って辿り着いた首里城からの「初景色」だって言えた。正月はハイキングにいった。「初富士」は私は身近ではないが「初淺間」なら身近だし、「初ハイキング」とか言っておくのもありだった。「初笑い」はあのときか、このときか。あゆ美さんのカレンダーの表紙をめくって一月の素敵なイラストを見たときだって「初暦」な気分だった。「初鏡」はいつだったか。「初稽古」は筋トレに使えばよかった。「初電話」は今はあまり使わないけど「初メール」とか「初LINE」とかならいえた。もう15日だけどまだ15日。今年は夏が長いとか言っていても過ぎてみたらあっという間に夏気分を忘れた。歳時記を見る限りまだ新年の句でいける。今夜締切のオンライン句会の題も新年の季語がいくつかあがった。なんとなくの移り変わりを楽しむのが季節なのだからやはり旬のものと過ごしながらそれを楽しみたい。

初芝居その楽屋訪ふ女たち 高浜虚子

初夢の大きな顔が虚子に似る 阿波野青畝

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家候補生