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精神分析

呉明益著『複眼人』を読んでいる。

あれ?鳥の声がしない、と思ったらいつも通りしていた。さっきこの時間には珍しく鳩が随分近くでポッポいったので遠くの音に鈍感になっていたらしい。

今朝のお菓子はリンツのリンドールチョコ(赤)といちごバウムクーヘン(ホワイトチョコ)。どちらも小さくとも美味しい甘さいっぱいでおなかいっぱい。PUKKAのthree gingerというお気に入りのノンカフェインハーブティーをたっぷりマグで一緒に。今日は水分たっぷりとらないといけなそうなお天気ですね。

また早朝から呉明益著『複眼人』を読んでいました。精神分析家ビオンの「複眼視」を思い浮かべタイトルだけで買ってしまったのだけど著者の呉明益は台湾を代表する作家だそうで同世代。1971年生まれ。買ってよかった。久しぶりにスケールの大きい物語に入り込んだ気分。アトレという少年とアリスという女性を中心に幾人もの視点が入れ替わり立ち替わり同じ時間に起きた出来事を映し出す。心情よりも景色を。アトレが生まれた島の諺や言い伝えは美しく巧妙に口減らしを表現する。昨日、この本の紹介をしようとしたが諺や言い伝えを思い出せず身も蓋もない言い方でこの島の慣習を説明してしまった。口承伝承に完全に失敗したが外側からみれば「それは単に」と言いたくなるようなことなのだ。でもそこに生まれそこで生きる人たちにとってそんな剥き出しの表現では深い悲しみや苦しみに持ち堪えることはできないのだろう。最初からとても切なかったが物語は人の力の及ばない自然の大きな動きに絡めとられ喪失を生きるための言語以前の言葉を探すことを促す。もうだいぶ後半だがまだ途中だ。読み進めよう。

毎晩疲れ切って眠るときの記憶がないが朝を迎えればそれなりに回復している。睡眠の力。みんなは眠れただろうか。これから寝る人もいるからもしれない。今日も無事に過ぎますように。わからないことはわからないままに。思ったことは思ったままに。