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俳句

成人の日、絶滅危惧種

今日は暖かい、でも明日は寒くなるみたい、と昨日いろんな人から聞いた。昨晩の帰り道、すでに風が冷たく昼間の温もりはどこかへ消えていた。深夜ソファでうとうとして寒さで目が覚めた。潜り込んだベッドも冷たくてできるだけ小さい面になるように丸まった。

年末年始の休みのあとは様々な土地のお菓子が集まる。知っているものもあれば知らないものも懐かしいものも。直接会えない相手が多いのでそれにまつわるエピソードを聞くことができないのが残念。

1月第二月曜日13日は成人の日だった。今年自分や娘が成人した人やこれから自分や娘が成人の日を迎える人がいろんなふうにこの日のことを語るのを聞いてきた。女の子はとにかくお金がかかる日でもある。その地域での育ちや関係性が見直される日でもある。当日を迎えるまでに色々と思い悩むことも多い。ただの通過点というわけにはいかなくするのが儀式の狙いでもある。そういう話をただただたくさんしよう、というのが私の仕事である。

成人の日の華やぎにゐて孤り 楠本憲吉

色あふれ成人の日の昇降機 斎藤道子

角川『俳句』で句友や主宰や好きな俳人の句を読みながらみんななんて正確に日本語を使っているのだろうと思う。これをこう読むのは言い過ぎではないか、とかいう話の水準が違う。その言葉の意味をギリギリまで広げるかつきねけるならもっと別の工夫も施している。私もせっかく沖縄へ行ったのだからと色々と思い出していた。琉球開闢伝説にもあらわれる、琉球王国の聖地「斎場御嶽」では池にシリケンイモリがたくさんいてみんなで彼らを眺めた。沖縄ではレッドリストで準絶滅危惧種だとそこでボランティアガイドをしている人が教えてくれた。前回の年末年始、奄美大島で一緒になった家族の子が見つけて感動していたのもシリケンイモリだ。その子はイモリを家でもたくさん飼っているらしくお父さんと大興奮で私も興奮した。イモリは夏の季語で今の季節に使うなら冬眠だなと思ったが沖縄では冬眠していなかった。ガイドさんがハブも冬場は少ないから沖縄の温度でも冬眠するのではないか、と言っていたが、昨日調べたら「ハブは冬眠しません」と書いてあった。沖縄の明るい雰囲気を纏ったあのゆるーいガイドさん(しかし仕事きっちり)なら「え、しないのー。してるのかと思ったー」と沖縄の発音で笑うだろう。絶滅危惧種といえば、と夏井いつきの『絶滅危急季語辞典』をパラパラ。載っているはずもないかと思いながら索引でイモリを探したがやはりいなかった。しかし尾類馬(じゅりうま)という沖縄の季語を見つけた。

説明を引用する。

ジュリ(尾類)は沖縄の方言で遊女を指す。陰暦の正月二十日、那覇市の旧辻遊郭で遊女を二組に分け、練り歩いたもの。獅子舞と弥勒神をそれぞれ先頭に、板でできた馬首を腰にくくりつけ、紫の長布と絶型衣装を着て手綱をもち、「ユイユイユイ」と囃す。春駒(「絶滅寸前季語辞典』ちくま文庫版三六八頁参照)の一種。那覇三大祭にも数えられる伝統行事である。

とのこと。「ゆいゆいゆい」といえば沖縄だがこういうところでも使われるのか。今の大河ドラマでも遊郭は描かれているが、尾類馬も女性団体等の非難や資金面を理由に中止されたり復活したりした経緯があるらしい。この絶滅危急季語辞典は2011年刊行だから今はまた違う状況があるのかもしれない。この本には例句も載っているが尾類馬を使った例句に夏井さんがお手上げとなっているのもあって面白かった。今年はもっと俳句のことをというか正確な日本語を意識して読書もしていきたい。

と書いているうちに空が白みを増してきた。良い1日でありますように。

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家候補生