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「あー」

4月1日になってしまった。昨日終わるはずのことが何も進んでいない、ということは・・あー。もう毎日「あー」だよ。いってるだけでなにも進まないじゃんね。人には原稿催促とかしてるのに。いけない。

昨日、夕方オフィスのそばを歩いていたら途中の駐車場でお財布(たぶん)をポーンっと空高く投げた人がいた。「たかっ!」と思って横目で見ながら通り過ぎるとその人はそれを上手に受け取って何事もなかったかのように車へ入っていった。大人になってもやるんだねえ。そんな気分になったんだねえ。どんな気分だったんだろ。駐車場でお金払ったあとについやってしまう癖とかなのかな。私は長らく何かを空高く投げてないな。子供たちと遊ぶときはやるけど。小学校からの帰り道、給食袋とか投げながらみんなで帰った気がする。あれ投げやすいもんね。その人を見ながら小学生のときたまたま目に入った手頃なサイズの石をそれがドブ川とかに落ちちゃうまで蹴りながら帰ったことも思い出した。

今朝は東海道土産の「宮まんじゅう」をいただきます。これスタバのナッツのクッキーと味が似てるの(と私は思うの)。熱田は古称が「宮」で熱田神宮の門前町、東海道五十三次の宿場町。東海道をずーっと歩き続けている人からのお土産。箱に書いてあるのは廣重の浮世絵。夜の馬追い神事なんだけど最初見たとき、何かの戦いかと思っちゃった。美味しいですよ、コーヒーとも合います。スタバでも和菓子出せばいいのにね。おー、熱田にスタバある!「ミュープラット神宮前店」。私なら店舗限定でコラボするな。あとひつまぶしの何かとかと。昔、熱田に行ったときに蓬莱軒というひつまぶしのお店へいって待ち時間に熱田神宮を散歩した。そのあとも学会で名古屋に行ったときに行ったなあ。そのときは名古屋に住んでる友人ご家族にも美味しいものご馳走してもらったんだ、そういえば。いろんな土地の食べ物をその土地でいただくって贅沢ね。冬は南へ、夏は北へ、春は真ん中らへんと日本全国旅してきたけどまだまだ全然知らない食べ物がたくさん、ということはわかってる。お仕事がんばって備えなくては。胃腸も丈夫にしなくては。これは無理だな。でも大丈夫。昔からだから不調の時の対処に慣れているのですね。合う薬を持ち歩くとか。あとはどのくらいそれが対処すべき不調かもわかるようになってるかな。わからないときもあるけど。

3月は高橋ユキさんの『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う 』(小学館)の文庫版が出てすぐ買って読んだけど(特製しおりも素敵ですよ)、そこで取材中の高橋さんがおなか痛くなっちゃう場面があるのですよ。あそことても共感した。私も以前はいろんな現場を回ってたからはじめての場所でそうなるとほんと困りますよね。緊張とかもあるのかしらね、と思うけど。この本は本当に面白いですよ。高橋さんもいっていたけど誰にも共感できない。理解しようとすればするほど謎が増えていく。人間をきちんと捉えようとしてその単体ではなく出来事を含めながら追っていくとこういう感じになるんだなあと臨床家としての実感とも相俟って何度もパラパラしてしまう一冊になりました。おすすめ。

しまった。熱田神宮の門前、ということでベルクソンの門前にたったぞ、ということを書こうと昨年たくさんでたベルクソンの本とかイベントのあれこれに思い巡らしていたのに全然ベルクソンのこと書いていないじゃないか。いつものこととはいえここまで一言も触れてないとは(見返した)。あー。毎日「あー」ではじまる朝なのです。4月もきっと色々ありますね。あーとかうーとか言いながらなんとかやれますように。どうぞお身体は優先的にお大事に。

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高橋ユキ『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』文庫版を買った。

高橋ユキ『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)を購入。渋谷駅を出てすぐの大盛堂書店でサンバイザー広告を出していると呟かれていたので頻繁に前を通るのに最近寄っていなかった大盛堂へ。半蔵門線を出てこの階段でいいのかなといくつもある地上への階段を適当に登ったら地上に出るなり大盛堂。「おお!これがサンバイザー広告!」と結構感動した。小さいのに写真でみるよりずっといい感じにヴィヴィッドだった。本自体は文庫の中でもかわいらしいサイズ。レジ前に積んでくれていたのですぐに手に取れた。店員さんがサイン本かどうかも確認してくれた。「しおりも入っていますか」とおずおず聞いてしまった。入っていると知っているから大盛堂にきたのになんだか不安になってしまった。


noteにも書いたけどノンフィクションは伏線回収とか不可能なので好き。現実の複雑さ、解決しなさがそのまま描写される。特にこの著者の書き方が好き。変な興奮も強い主張もなくごく普通の感覚とスピードで真相を追う(という表現はしっくりこないのだけど)感じがすごいと思う。私はニュースレター「高橋ユキの事件簿」も購読しているが、noteでも本書が書籍化するまでの流れも読めるし、弁護士ドットコムの連載とかいろんなところで著者の記事は読めるので本書とあわせてぜひ。主に裁判の傍聴席から、そして本書のように現場から、裁く目とは異なる視点で事件を丹念に追う著者の作業はSNSとかでサクッと記事や写真を拾って上から目線でなにかいう作業とも呼べないようなお手軽作業とは全く異なりとても貴重だと思う。そこでは実際の人がきちんと生きている。この本の現場は山口県周南市。小さな小さな村で起きた殺人放火事件。私は今回文庫化にあたり著者が再び現場を訪れ加筆した新章から読み始めた。現場へ行きたいと思った。事件の現場としてではなく。当たり前だがどんな土地の生活にも歴史がある。小さな村で多くの人が殺害されたあとも生活は続いている。今まさにこの瞬間も。

私は学会や旅で日本全国行っているので事件の現場を訪れることも多い。あえて訪れる場合もあるし、偶然犯人と同じルートをいっていたという場合もある。当事者ではない自分がその生々しい事件が起きた後の場所に立つときの、解釈できない出来事にとどまらざるをえないあの感触は独特だ。著者はそこにただとどまることをしない。真相を知ろうとする。自分の生活を維持しつつ取材に向かう著者の胆力のみならず現場や当事者に対する配慮ある距離感にもじんわり様々なことを感じさせられるこの一冊、少し不気味で(先入観のせいかも)美しい著者お手製のしおりと共に手に取ってみるのはいかがだろう。私はおすすめしたい。

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金沢とか書物とか

金沢の和菓子だー、と他人の写真をみて羨ましがっている。美味しいお饅頭をいただきながら。熱いお茶でポカポカ。このまま身体が冷めませんように。薄手のダウンも脱いだり着たり。

金沢にはじめて行ったのはまだ新幹線が通っていないとき。調べたら2015年開通だからその前。まだフランス語を習っていて先生に金沢をどれだけ歩き回りいかにその価値があるかを少ない語彙で熱く語ったので2014年かも。精神分析の訓練にはいるので時間もお金も作らなくちゃでやめたんだ、フランス語。訓練終わったらまたやりたいと思っていたけど今はボクシングの方がやりたい。ケイコ(映画)のせいだな。

金沢は本当に天国みたいなところだった。と書いて金沢にはじめて行ったのはもっとずーっと前じゃん、と気づいた。20代の頃だ。福光屋さんの前で「ここなんだろ」と覗いていたら中に入れてくれていろんな段階のお酒を試させてくれたんだ。数年前に行ったときはすっかりきれいでおしゃれなお店になっていた。古き良き時代じゃった。と感じたのはその部分だけで何度行っても金沢は和菓子とごはんと美術と哲学と自然の宝庫だよ。また行きたい。

金沢といえば昨年『世界を変えた書物』(著/山本貴光 編/橋本麻里) という素敵な図録がでた。2012年金沢から始まり各地を巡り2022年金沢に戻り閉幕した展覧会『「世界を変えた書物」展』に合わせて出版された書物だ。内容については前にも書いた気がするのでためし読みもできる小学館サイトでぜひチェックを。自然科学分野を中心に、今となっては偉人のみなさんたちの「初版本」をたくさん見ることができる。まさに金沢という地にぴったりの知の集積と連環。文字は山本さんの解説しか読めないけど(原典はラテン語とかだもの)解説を読むと「へーそうなんだ!」とワクワクしながら眺められる。こういうのをこんなぎゅっとコンパクトに解説したり、こういう本を編集できてしまう知性もどうかしてるのではというくらいすごい。

私は今日も眠くてしかたない。寒さでシャキッとすることもなく色々巻き付けて縮こまるのみ。春よーとおき春よ♪待ってるから早くきて。今日も暖かくして過ごしましょうね。