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精神分析

囚われ、連帯、『帝国の追放者たち 三つの流刑地をゆく』(柏書房)を読み始めた。

すでにのんびりしてしまった。やらねばいけないことは山ほどあるのにのんびりもできてしまう。人間のキャパを舐めてはいけない。と思いたいが、私たちの心はものすごく何かに囚われやすいことも事実だろう。死に囚われてしまった人に対して反射的に何か言いたくなるときそれは抵抗かもしれない、自分がそれに囚われないための。人は人を使って生き延びているだけかもしれないのに不快さや不安を感じると相手ごと自分から切り離そうとする。「私よく知らないし」とか「え?関係あると思ってたんですか?」みたいな感じで。嘘くさいがそういう人たちも本気だ。それはそれで囚われている。切り離すことなどできない。

私は「連帯」という言葉が苦手だが人は人を使って生き延びている、というか「いかなる人生も自己もひとつの統一体ではないこと(p.15)」を自由と連帯の側面から描写する本と出会った。『帝国の追放者たち 三つの流刑地をゆく』(柏書房)というきれいな青い表紙の本だ。ここには3人の流刑囚が登場する。柏書房のwebマガジン「かしわもち」(note)から引用しよう。ありがたいことにプロローグも公開されているのでそこだけでもぜひ。「ホームシック」についての印象的な記述が本書で著者と辿る流刑囚三人の物語の導入となる。

「本書はある流刑囚三人の物語です。すなわち──フランスによってニューカレドニアへ送られたパリ・コミューンの闘士、ルイーズ・ミシェル(1830-1905)、イギリスによってセントヘレナへ送られたズールー人の王、ディヌズールー・カ・チェツワヨ(1868-1913)、ロシアによってサハリンへ送られたウクライナの人民主義者、レフ・シュテルンベルク(1861-1927)。より大きな自由とホームの理念のために、目の前の自由とホームを犠牲にした者たちの生涯を著者は辿るのです。」

最初は名前や地名に馴染むのに少し苦労した。異国へ向かうときに最初に生じる言葉の混乱。でもそれも最初だけだろう。まだ読んでいる途中だ、ということで読みたいのであと一冊、すごく力強い本に出会ったけどそのことはまた今度書くことにしよう。

今日はジャスミンアールグレイと生チョコのお菓子をいただいた。治療後の歯が痛いが食べることもやめられない。困った困った。