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精神分析

ソウルから帰ってきたり、色々読んだり。

今朝はひんやり。北側の窓をあけたら昨晩の風はおさまっているようだった。少し厚着をしてバタバタ家事をしたりお茶をのんだりしていたら今度は少し暑い。いいお天気。

今朝は韓国で買ってきたお菓子をお茶と一緒にいただいた。25年ぶりのソウルで、今回は学会のためにいったからそんなに観光はできていないし、色々チェックしていたお土産も買いそびれてしまったが、なんといっても近く、女性たちが親切。ハングルが全然わからず、韓国語も全く聞き取れないにも関わらず、こちらがわかるように伝えてくれるのだからすごい。初日からなにかあっても助けてもらえるという感覚をもって行動できた。感謝。近いって素晴らしいな。前日遅くまで仕事して、翌日早朝に空港にいって2時間ちょっとでソウルに着いてお昼過ぎから散歩したり美術館行ったりする時間も元気もあったし、昼の飛行機で羽田に帰ってきたあとも銀行へ振込に行ったりあっというまに日常に戻ってこられた。

今朝はちょうど流れてきた韓国の詩人、小説家、批評家、翻訳家(ロシア語)のイ・ジャンウク×ペ・スアのインタビューを読んだ。「クオンの本のたね」のnoteで。

翻訳について彼が言うには

「例えば、アメリカの作家よりも韓国の作家のほうがレイモンド・カーヴァーを楽しめると思うんです。アメリカの作家は慣れ親しんだ言語と文法でカーヴァーを読み、韓国の作家は異なる言語と文化がもたらす新鮮さでもって読みます。」

そうだと思う。今回、ソウルで開かれた5th IPA ASIA PACIFIC CONFERENCEにいっていろんな発表をきいたり、自分も発表したりしたが、海外にいくと言語と文化について考えることが普段の何十倍にもなる。

イ・ジャンウクはこうも言っている。

「考えてみると私には小説家として不利な条件がたくさんあります。ソウルに住んで標準的な韓国語を使っていて、中年で、男性で、異性愛者のうえ教授まで務めていて……。」

マイノリティの要素に意識的な人である。

「大韓民国は首都圏に住む中年・男性・異性愛者・知識人が圧倒的に支配しているじゃないですか。まず格好悪いですよ(笑)。」

これは関係あるかどうかわからないが私をソウルで助けてくれたのはみんな女性だった。彼らはみんな自分から話しかけてきてくれた。それなりに距離のあるところからそうしてくれた人もいた。

ちょうどジェンダーに関わる論文を読んだところだった。

読んだのはBell, D. (2020) First do no harm. International Journal of Psychoanalysis 101:1031-1038

これはかなり強い感じで書かれている論文で、相談が急増している“rapid-onset gender dysphoria”を社会的文化的文脈を検討せず、人的資源も時間も思考も足りないなか、本来は複雑であるものをジェンダーというプリズムを通じてしかみないことで多くのことが扱われないまま残されるという問題も書かれている。そして思考の排除と社会的圧力の中で、複雑な心理的問題が身体的解決へと単純化されていることへの批判も明確。

ちょっと考えれば簡単ではないとわかることも考える時間がない、あるいはそういう時間をもたないことで解決可能な問題にしてしまう。それは大変に危険なことだ。特に人間の身体や心における解決は常に暫定的なものだろう。

とにかく難しいことは難しいままにしておく必要があるのだろう。すでに起きてから数時間たつが眠くなってきてしまった。動かねば。今日は土曜日。よい一日になりますように。

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家