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精神分析

子どもの精神分析の歴史、Sophie Morgensternのことなど。

いいお天気。あっというまの一週間。困った困った。でも週末はなんだか嬉しい。

昨日、書いた子どもの精神分析に関わる分析家(女性ばかり)のことをAIに英訳してもらった。彼女たちに関する論文を検索するときに便利だから。

One of the best-known pioneers is Hermine Hug-Hellmuth (1871–1924). Before Anna Freud and Melanie Klein, she sought to understand children’s mental lives from a psychoanalytic perspective through their play, dreams, and everyday behavior. Sabina Spielrein (1885–1942) also published research on children’s psychological development as early as 1913.

This brings to mind Early Women Psychoanalysts: History, Biography, and Contemporary Relevance (Routledge, 2024), edited by Klara Naszkowska, which I introduced here previously. The volume brings together the lives and contributions of pioneering women psychoanalysts whose work has often been overlooked or insufficiently recognized in conventional histories of psychoanalysis.

Although Hug-Hellmuth is not included in this volume, it features Spielrein, as well as Beata “Tola” Rank (1886–1961), who was involved in psychoanalysis and education in Vienna during the 1920s and later made significant contributions to the development of child psychoanalysis in the United States. It also includes Margarete Hilferding (1871–1942), who became the first woman admitted to the Vienna Psychoanalytic Society in 1910 and engaged with questions of motherhood and women’s rights. Meanwhile, in France, Sophie Morgenstern (1875–1940) developed an approach to child psychoanalysis that drew on children’s drawings and other forms of symbolic expression.

精神分析は人と人のつながりの中で世界に広がっていったものだから、私もそれを少しずつ追って、現代とのつながりを見失わないようにしたい。たとえば、フランスのソフィー・モルゲンシュテルン(Sophie Morgenstern)は、フランソワーズ・ドルト(Françoise Dolto,1908–1988)に直接的な影響を与えた分析家だよね、ということはドルトの知名度と比べたら全然知られていないことだと思う。なにかが生まれるにはそこに連なる歴史がある、そういう重みを忘れないことも大事。だからしょっちゅうこういう作業をしているわけだ。

ソフィーは1920年代から1930年代にかけてパリのヘンリ・ルーセル病院などに勤務し、子どもの描画を精神分析的な表現手段として体系的に活用した先駆者ともいえる人。彼女は、成人のような言葉での自由連想を行うことが難しい子どもにとって、描画がそれに相当する表現手段となりうると考えた。ドルトはモルゲンシュテルンの手法を受け継ぎ、身体、言語、欲望、他者との関係を独特の仕方で結びつけ、英米とは異なるフランス独自の子どもの精神分析を発展させた、と書くのは簡単なのだけど、ドルトは師であるモルゲンシュタインの自殺を経験している、と知ると二人の人生と理論の幾重もの重なりあいが見えてくる気がする。もちろん、ドルトが師の死を経験したという事実と、その経験がドルトの理論にどのような影響を及ぼしたかという問題は別のものだけれど。

モルゲンシュテルンは1940年6月、ナチス・ドイツによるパリ占領の時期に自殺した。これについては、昨日も参照したEarly Women Psychoanalysts: History, Biography, and Contemporary Relevance (Routledge, 2024)に詳しく書いてある。Part Four: Beyond the Holocaust 11. Eugenia Sokolnicka and Sophie Morgenstern: The Intertwining of Life, Work, and Death という題をみるだけで気持ちが沈む。

モルゲンシュテルン自身も、かつて自分の分析家だったソコルニツカを自殺によって失った。精神分析の歴史とは、分析家たちが互いの人生に深く関わり、ときにはその死を経験しながら続いてきた歴史でもある。ここの章題も The Intertwining of Life, Work, and Death.。まさに。

ここにあるのは個人的な喪失だけではない。ヨーロッパのユダヤ人精神分析家たちが置かれていた歴史的状況がいかなるものであったか。私たちは忘れずにいる必要がある。モルゲンシュテルンの死をナチスによる占領と切り離せないように、精神分析の発展も、迫害や亡命、戦争から切り離して語ることはできないから。最近、日本の学会でも、戦争と精神分析は継続的なテーマになってきたのはとても大事なことだと思う。そこでは改めて歴史の読み方、参照すべき資料の吟味、など基礎的なことが色々問い直されもするだろう。

行きつ戻りつ歴史を歩む。今日もそのプロセスにある。良い一日でありますように。