This transformation of unity into ‘three-ness’ coincides with the transformation of the mother-infant unit into mother, infant and observer of mother-and-infant as three distinct entities.
昨日は久しぶりにAIとウィニコットについておしゃべりした。そうだ、心理療法フォーラムの討論原稿は当日はほとんど使わなかったし、文字化するときも2000字くらい削らなければだけどANDRÉ GREEN, « La mère morte » (1980), in Narcissisme de vie, narcissisme de mort (1983)とエゴン・シーレをつなげた一文は入れておこう。
日本精神分析協会のジャーナルは書いてから掲載まで8ヶ月でスムーズだった。英語でのエッセイだけど、協会と学会の依存関係やアムステルダムショックなど日本の精神分析協会が歴史から学べることをBeing Polyphonicという題で書いた。問題が生じたらそこから学ぶ必要がある。歴史はきっと教えてくれる。原稿のもとは昨年シドニーで発表したものだけど、能登のこと、中村哲さんのことを書いておきたかったので文章にしてよかったし載せてもらえてよかった。英語チェックもプロにしてもらっているので読みやすいと思うのでよければぜひ。e-journal『The Journal of the Japan Psychoanalytic Society. vol.7』です。
『心を探して:ブルーナー自伝』(田中一彦訳、みすず書房、1993年)。Jerome Seymour Brunerは1915年生まれ、2016年没。101歳ということだね。原著はIn Search of Mind: Essays in Autobiography. (1983)。ということは70歳になる前に書かれた自伝ということ。このあと30年間も生きるなんて思わなかったのかもしれない。私が大学生の頃によく読んだ心理学者ばかり出てくる自伝。みなさん、交流があったのだねえ。
ブルーナーの最初の分析家はエドワード・ビブリング(Edward Bibring、1894-1959)。エリクソンのスーパーヴァイザーだったりした分析家だ。ウィーン、ロンドンとフロイトと行動を共にして1941年からBoston Psychoanalytic Society and Instituteで訓練分析家を務めている。ブルーナーは1953年の秋、コモンウェルス基金の研究奨励金で精神分析を受け始めた。彼らは同じユダヤ人として親しみのある関係だったようだが、ブルーナーは「私は、分析が「行われた」とは思わない。」と書いている。
それにしても朝は目が見えない。週末、いろんな友人と老眼の話をした。付き合いが長いとお互い目がよかったこととか元々悪かったこととか色々知っているし老いのあれこれを実感を持って語ることが増えるのか。若い頃には知らなかったな。いつもお世話になってきた先生に講演会で思い出話をしたといったら「そういう年齢に」と言われ、まさに私が言いたかったのはそこなので笑った。こんななのに思い出話するようになっちゃったよ、と少しおかしい。東畑さんとか私から見たら若い心理士たちのいっていることとかに触れたときに世代差を実感した。「先生の時代は」とか言われることも増えた。「はいすくーる落書」の話が通じた同世代は THE BLUE HEARTSのTRAIN-TRAINがそこから出てきたのを知っているかどうかだよな、みたいなことを言っていて面白かった。その頃の尾崎豊について同世代と少し下の世代の実感が異なるのも興味深かった。私は尾崎が死んだ日のニュースを寮で同じ歳の子たちと見たのでその日の異様な雰囲気を覚えている。泣いている子たちもいた。週末の講演のためのメモは私が影響を受けてきたというよりは通り抜けてきたテレビや本のことが多かったがそれらはほとんど使わなかった。薬物の観点からも時代の話はできる。歴史というのは面白いのだ、なんて実感もここ10年くらいの間に生まれた。老いると自分語りが増えるのは仕方ないことなんだな。そうそう、週末、学術大会ですごく久しぶりに揃った昔の職場の先輩たちと当時、嘱託でいらしていた元管理職の教職のみなさんがいかに体力があったかということも話した。私たちはまだその先生たちの年齢においつていないけど、すでにあんな元気はないことは確定している。
This transformation of unity into ‘three-ness’ coincides with the transformation of the mother-infant unit into mother, infant and observer of mother-and-infant as three distinct entities.
これはオグデンの本の一節だけどどの本だかメモしておくのを忘れてしまった。
ウィニコットのこれもいい。
From now on the subject says: ‘Hullo object!’ ‘I destroyed you.’ ‘I love you.’ ‘You have value for me because of your survival of my destruction of you.’ ‘While I am loving you I am all the time destroying you in (unconscious) fantasy.’
–The Use of an Object and Relating Through Identications Donald W. Winnicott
「歴史は過去とは違う」by オグデン。これも基礎的な認識として大事。
History is a creation reflecting our conscious and unconscious memory of, our personal and collective rendering of, our distortions of, our interpretations of, the past. –Ogden, T.H. Matrix of the Mind
女の精神分析家たちで女の精神分析家の本を読む会のために一つ論文を読んだ。今読んでいるのはDana Birksted-Breen “The Work of Psychoanalysis Sexuality, Time and the Psychoanalytic Mind”。今回はその第5章、Bulimia and anorexia nervosa in the transference。摂食障害の治療は非常に難しいとされるがこの章で取り上げられる事例のひとつは非常に詳細にそのプロセスが書かれ、摂食障害の治療に特有な転移関係の展開と関わりを示す努力がされている。今回、少し参照されていたH.ローゼンフェルとの「ギャング」と「マフィア」という言葉で示される破壊的で万能的なナルシシズムの心的構造は摂食障害に限らず大変有効だと思う。