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精神分析

雨、カリビアンジャズ、油井正一の本

昨晩、オフィスのあるビルを出たら雨。驚いた。降り出したばかりらしいが結構強い。エレベーターで一緒だった礼儀正しい人は大きな黒い傘をさして真っ直ぐに背中を立てて早足に去っていった。オフィスに置き傘があったかどうか。どっちにしてももどるのは面倒だ。強めの雨に打たれながら左手でリュックの下の方を探るとあった。三つ折りの小さな黒い傘。いつもリュックの色と同化していて覗いても見つからないがあっさり見つかった。すれ違う人はみんな大きな傘をさしている。夜は雨の予報だったのか。軽くて柔らかい白い布のスニーカーはすぐに濡れタイツも濡れた。帰宅したら本が届いていた。お礼を書かねば。書いた。この前シドニーでお会いしたばかりだがみなさんの仕事量たるや。また読んだら感想をお送りしよう。ここにも書くだろう。昨日は音楽を流しっぱなしで眠ってしまった。柳樂光隆のカリビアンジャズのプレイリストを聞いていたのだがその流れのままおすすめが再生され続けている、今も。そのプレイリストが紹介されているのと同じだったか別のnoteの記事だかに油井正一の『ジャズの歴史物語』(角川ソフィア文庫)が紹介されていた。電子版があったのですぐに買った。油井正一が読みたかった。ジャズはニューオリンズで生まれたということを示すことから始まるこの本は「クレオール」(仏語)「クリオール」(英語)の文化や思想についてカリブ海文学研究を通じて本を書いている中村達や中村隆之の本と私の中では繋がっており、ポリフォニックであることの背景に沈黙(抑圧と排除ゆえではない意図的な沈黙もあろう)を含む声にならなさ、「母国語」の使用の難しさを考えていた私にとっては興味深く、書き方に示されるジャズに対する明確な態度も見習いたく思った。私は精神分析に対して曖昧な態度をとっているつもりはないがこの治療も文化も残っていくにはあまりに曖昧なものを取り込みすぎている気がする。ジャズミュージシャンたちが作り出してきた歴史と彼らに対して真剣に向き合い書き続けてくれる人たちに励まされること多し。がんばろう。雨、やむといいな。