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精神分析

立冬の日の夜とか。

空がどんな状態になったら夜明けというのかわからないけど、少しでもピンク色の空が感じられないときは明るくなってもまだ夜が明けていない気がしてまちぼうけのような気持ちになる。

昨晩は、夜のうちに洗濯機を回してしまいたくなって、寝る時間がさらに遅くなるのもよしとした。眠くなったら寝てしまおうと思いつつも、冬の陽射しのために急に模様替えを始めてしまった私が仕事をするはずの机は資料が山積みになっているだけでほとんど使われていない。パソコンが大きなデスクトップだった時代はそこにかじりついていたが、今はとても軽いノートパソコンだし、電源につないでなくても作業ができる。理由はそれだけではない。私は冬はできるだけ陽射しのなかにいたい。温度をあげたいだけなら暖房で構わないが、私はたぶん明るさを欲している。だから私が思う夜明けをいつまでも待ってしまうのかもしれない。

そうそう、それで机の上に積まれた書類をとりあえず全部床におろして、そっと運んだ。真夜中だから少しずつ静かに。ひとりで持ち上げられる机でよかった。学生の頃にひとめぼれして買った机だったような気がする。新宿丸井のin The ROOMでだったような気がする。なんでも「気がする」の曖昧な記憶。もう閉店してから大分経つのはたしか。真夜中に陽射しもなにもないし、今も陽射しはまだない。でもオレンジ色に染まるはずの南側に大きな窓がある部屋の隅に机を置いた。太陽の向きは毎日少しずつ変わっているはずなのに、変わったなあと意識するのはちゃんと季節の変わり目だったりする。昨日は立冬だった。

昨晩、ミーティングが終わったあと、近所の神社の酉の市へいった。新宿の花園神社のには何度か行っているが、そのにぎわいとは正反対の静けさだった。奄美大島で早朝、初詣にいったときのことを思いだした。混雑を予想していたらほとんど人がいなくて少し拍子抜けしてからワクワクする感じ。15日までに15句俳句を作らねばならない、というのも頭にあった。店じまいをはじめていた2つ3つの屋台はもうお店の人だけだった。料金をきいてもすぐにはわからないくらいの曖昧さが面白かった。そこで友人がはじめて熊手を買った。動画には小さめの熊手を右手に持って、どこに飾ろうかなという感じで上下に揺らしながらお店の人と笑いあう友人がいた。帰りの車内で俳句にした。

車内でiphoneで俳句を作ったりぼんやりSNSを眺めていたら櫂未知子さんが亡くなったというニュースを目にした。とても驚いた。66歳だったという。櫂さんは北海道余市のご出身だったのだな。

櫂さんの本は一冊しかもっていない。酉の市の句も作ったかな、と思いながらめくっていると、子ども時代、母に言われた言葉からはじまる文章のなかに櫂さん本人のではなく、櫂さんが選んだ俳句が載っていた。

移動した机に上に正方形に近い小さな箱のお香があった。一時期、友達に教えてもらってヨガやお香にはまったことがあった。だったらうちのももっていって、と実家にたまっていたお香もたくさんもらった。本当に時折たくことはあったが、この前も掃除をしていたときに別のお香を見つけて、火をつけようとしたらチャッカマンは使えず、少なくなったマッチ箱のマッチも何本か試したが火が付かず諦めた。今朝、だめもとでマッチをすってみた。ついた。今見たら徳島グランドホテル偕楽園のマッチだった。阿波人形浄瑠璃の阿波木偶の顔がどーんと表にいる。はじめて徳島に行ったときにとまったのがそこだったのかも。この前、行ったときは駅前のビジネスホテルだったから。説明書に「または香炉やワイングラスなどに灰をいれて、直接さしてくゆらせてください」とある。ワイングラス!ならうちにある使わないグラスでもいいということか。おしゃれ度は下がるし、ためておけるほどの灰が発生していないが。

東の窓からの陽射しがまぶしい。この位置だとこの時間はこうなるのか。このオレンジの光が好き。一年、また一年、一年くらいが先を願うにはちょうどいいのかもしれない。「NHK俳句・俳句さく咲く!」で櫂さんの姿をみていたのは何年前だろう。

熊手を買ったり、お香をたいたり、そこにある小さな時間の積み重ねを意識できますように。よい日曜日をお過ごしください。

作成者: aminooffice

臨床心理士/精神分析家