昨晩、クリス・モーソン編の『W・R・ビオンの三論文』(岩崎学術出版社)を読んでいた。原著は“Three Papers of W.R. Bion” Edited by Chris Mawson, Routledge, 2018.。翻訳は福本修先生。各論文に編者であるクリス・モーソンの「編集後記」がついている。これが大変興味深い。クリス・モーソンは『W・R・ビオン全集』の編者でもある。福本先生の補遺も「あとがきに代えて」ということでついている。ビオンもだいぶ読み慣れたせいか、そんな新しいことが書いてあるとは思わなくなった。身近な先生のお話を繰り返し聞いている感じ。これは講演録で、原稿なしでビオンが話したものを書き起こしたもの。話すことと書くことの違いはすごくあると思う。講演や講義でのビオンはどっか苛立っているようでもあり、なんかイキイキしていていて好き。キーツのNegative capabilityがかなりしっかり取り上げられているからビオンのこれを引用する人は絶対読むといいよ。『注意と解釈』と一緒に。三論文の方はコンパクトな本ですぐに読めるし、なんて20年前は全然思わなかったと思う。意味がわからないままみんなでうちで読み合わせとかした。その後たくさん解説書も訳されたし、今は本当になんでも学びやすい状況でいい。一方、というわけでもないが、ラファエル・E, ロベス・コルボの『ビオン事典』(金剛出版)は使いづらい。事典なのに索引がない。これ原著からそうなのかなあ。翻訳されたものをあいうえお順で並べているわけだから英語つきの索引は欲しかったなあ。索引ないからパラパラめくっていたら「原始ー現実対象」Prote-real objectの項目に「生気あるものと生気ないものとの違い」p95を参照と書いてあった。これ一つの項目になっているんだ、と思ってパラパラ。142ページに登場。ビオンのAnimateを「生気あるもの」と訳しているのね。ウィニコットのAlivenessとはだいぶ違う。こうやって使用しながら自分で索引作っていくのがいいかもしれない。
昨晩、瀬尾まいこの『その扉をたたく音』に出てくるGreen Dayの曲を聴いていたら、さっきネットでGreen DayがHollywood Walk of Fameの星をGETと出ていた。まだGETしていなかったんだねえ。おめでとう。私にとってGreen Dayは若いバンドで少し下の世代の男の子たちがバンドでやっていたと思う。彼らももう大ベテラン。若いバンドというのは彼らの音楽自体にそう感じてきたからというのもあるかもしれない。瀬尾まいこのこの小説はいろんな曲が登場するのも楽しくて懐かしくて関わることの良さと切なさを感じて泣いてしまう。実際はこんなこと、なんて小説に思う必要なし。小説ってそういうものだし関わりの要素でいったら実際にこういうものはあるのだから。別の文脈でちょうど『そして、バトンは渡された』も話題になっていたし瀬尾まいこを一気するのもいいのではないか。他人の生活にあれこれ首突っ込んだところで事実なんてわからないし似たような言葉しかやりとりされないけど小説は豊かに気持ちが動くよ。