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女が女の話を聞く

ひらりさ『沼で溺れてみたけれど』(講談社)をほぼ読み終えた。Kindleで半額セールをやっていると著者のツイートで知り、かわいい表紙も「ああこういうことが書いてあるんだろうな」というわかりやすい書名も魅力的だったので買った。女が女の話を聞いて書く「沼」は男か金か親か最近だったら推しが関わりの中心となる。そこまではわかる。読んでみようと思うのはその中身が絶対に想像できない個別性に満ちていると知っているから。インベカヲリ★『私の顔は誰も知らない』(人々舎)はまた趣の異なる女が女の語りを聞く本だったけど、そこもそういうものに溢れていた。マスキュリニティというよりある種ASD的な頑なさや本人が一般的と思っている正確さに追い詰められ、こころも言葉も隠す方へ向かう女性たちは多いと思う。追い詰める側にしてみたらそんなつもりはないだろう。それで成功してきたのだからそれが「普通」なのだろう。